ACCAに働きながら挑戦したい。でも会計の素地がないし、英語も特別得意ではない。そう考えて足踏みしている方は多いと思います。当スクールから、簿記3級も持たない会計初心者が、働きながらACCA全科目合格を達成しました。この記事では、その合格体験記として、実際の道のりをそのままお伝えします。
ACCAという資格自体をまだよく知らない方は、まずACCAという資格の全体像を押さえておくと、この体験記がより立体的に理解できます。
この記事でわかること
- 簿記3級なし・帰国子女でない人が、ACCA全科目合格に至った実際の経過
- 働きながらの学習が、仕事や生活の変化でどう中断し、どう再開したか
- 一度の不合格から、どう立て直したか
- 日本語教材から英語教材へ、いつ・どう移行したか
- これからACCAを始める人が最初に押さえるべきこと
合格したのは、どんな人だったのか
まず、スタート地点を共有します。ACCAに興味はあるけれど自分には無理かもしれない、と感じている方にこそ読んでいただきたい部分です。
会計は、完全に初心者でした。簿記3級も持たず、会計の勉強経験はほぼゼロ。所属していたのも経理部門ではなく、会計とは直接関係のない部署でした。
英語もそうです。帰国子女ではありません。海外育ちでもなく、英語力が特別に高かったわけでもない。ごく普通に日本で育ち、日本で英語を勉強してきた方です。
そしてフルタイムで働きながらの挑戦でした。専業受験生ではありません。その間には部署の異動があり、人生の大きなライフイベントがあり、キャリアの転機があり、一度は不合格も経験しています。
その状態から、ACCA全科目合格まで到達しました。「会計の素地がないから」「英語がそこまで得意ではないから」という理由でACCAをあきらめている方がいたら、その理由は成立しません。実例がここにあります。
働きながらの道のりは、順調ではなかった
ACCAの合格体験記というと、短期集中で一気に駆け抜けた話を想像されるかもしれません。しかし実際は違いました。仕事も生活も動き続ける中での挑戦です。ACCAを働きながら目指す場合、むしろこちらが現実的な姿だと思います。
会計とは別の部署からのスタートだった
学習を進める中で、この方は経理部門への異動を会社に願い出ました。そして努力が認められ、しばらくして異動が実現します。
つまり、勉強を始めた時点では会計の実務にまったく触れていませんでした。資格の学習が先にあり、実務が後から追いついてきた形です。ACCAは長期戦ですから、会計の仕事をしながら挑戦するほうが学習と仕事の相乗効果があり、キャリアもより磨かれます。これは再現性のある良い戦略だと思います。
大きなライフイベントの時期は、あえて学習を止めた
誰にでも、生活が一時的にそれ一色になる時期があります。準備に追われ、当然、勉強は止まります。この期間、この方はあえて少し休みました。
一度きりの大切な時期を、勉強のために犠牲にする必要はありません。ACCAには合格期限がなく、待ってくれます。一旦横に置いて人生の側を優先させるのが、長い目で見れば正解だと私は考えています。
海外で働くことを視野に入れた、キャリアの転機
科目合格を重ねる中で英語力に自信がつき、海外で働くことを現実的な目標として考えられるようになりました。そこで、その可能性がより高い環境へ移ることを決め、これも実現させています。
その期間は当然、勉強のペースが落ちます。それでも問題ありません。実際、「勉強が進んでいないな」と思っていたら、いつの間にか環境を変えて待遇が大きく改善していた、という生徒さんは珍しくありません。試験より大切な機会が来たときは、一旦試験を休んで良いのです。
監査科目には、あえて6か月かけた
これは試験戦略の話です。監査の科目は他より一気にレベルが上がり、記述の量が増えます。合格率もここで下がる、ACCA最初の難所です。
この方は3か月で無理に詰め込まず、6か月の計画に組み直しました。この判断が結果的に効いています。急いで落ちるより、時間をかけて一回で受かるほうが、受験料の面でも精神的な消耗の面でも安く済みます。
科目ごとの具体的な攻略は科目ごとの学習ポイントで詳しく解説しています。
ACCAに落ちたあと、どう立て直したか
この方は最上級レベルの科目で、一度不合格になっています。4時間の試験です。それまで順調に合格してきた人が、この最上級レベルで躓くというのは、イギリスでも当スクールの生徒さんでも実際によくあることです。
ここが、この体験記で最もお伝えしたい部分です。この不合格で、もう一度気合が入ったそうです。そして学習の密度を、もう一段階上げていきました。落ちてペースを落としたのではなく、落ちて上げたのです。
ACCAの不合格には、二つの受け取り方があります。
- 「自分には向いていない」と受け取る → そこで終わる
- 「今のやり方では足りない」と受け取る → 次につながる
そしてACCAは、この「もう一回」が制度として許されています。初級から中級の科目に合格の期間制限はなく、最上級レベルにも7年という長い猶予があります。一科目ずつ受けられ、年に複数回あり、合格した科目は消えません。
ACCAにおいて不合格は、終わりの合図ではありません。密度を上げろ、という合図です。
ここで学習のレベルが上がると、その後の科目の合格可能性が上がります。不合格は、合格のために実は重要な通過点なのです。
ACCAの勉強法|日本語教材から英語教材へ移行したタイミング
ACCAの勉強法で最も多くいただく質問が、日本語教材と英語教材の使い分けです。今回の合格者の学習の仕方は、途中で大きく変わりました。
序盤は日本語教材が特に役立ち、後半は英語ベースで自走できるように成長していきました。つまり、日本語教材を徐々に卒業していったのです。
簿記3級もない状態で、いきなり英語の会計テキストを読むのは無理があります。英語が分からないのか会計が分からないのか切り分けられないまま時間だけが過ぎ、多くの人がここで脱落します。だから最初だけは日本語で会計の骨格を作る。ここは日本語のほうが確実に速い。
ただし日本語教材はゴールではありません。英語で会計を学べる自分になるための足場です。ACCAには記述があり、中級レベルからは自分の言葉で英語で説明を書く必要があります。最上級レベルではすべてが記述です。求められるのは「日本語で会計を理解していること」ではなく、「英語で会計を説明できること」。日本語で理解しても、英語で書けなければ点は入りません。
ですから、英語の原文に取り組むことは遠回りのようで近道です。具体的には、Kaplanなどの英語テキストと問題集、無料公開されているACCA公式の学習・試験リソース(過去問)、そしてACCA公式の学習プラットフォーム。この3つを早い段階から使うことをおすすめしています。
日本語は入口。英語が本体です。
より体系的な学習の進め方はACCAの具体的な学習方法にまとめています。
ACCAの合格率との向き合い方
ACCAの合格率は、基礎科目で7〜8割、それ以外はおおむね4〜5割です。この数字を見て「半分は落ちるのか」と不安になる方は多いと思います。
しかし、合格率40%は、あなたが受かる確率ではありません。理由は三つあります。
- 一科目ずつ比較的安く受けられるため、準備不足の受験者が母数に相当数含まれている
- 初回受験者も再受験者も、同じ分母で数えられている
- 記述式で部分点があり、合格ラインは50点。完璧でなくても方向性が合っていれば点が入る
つまりACCAは、60点の理解を答案の上で50点に変換できれば受かる試験です。択一は分かっているかいないかの二択ですが、記述は分かっている分だけ点になります。だから積み上げが効くのです。
科目別の合格率、必要な勉強時間、他資格との難易度比較は科目別の合格率と必要な勉強時間で詳しく扱っています。
これからACCAを始める人へ|働きながら合格するための5つのポイント
今回の合格者の道のりから、再現性のある形で抽出すると次の5点になります。
- 毎日、少しでも触る。週末にまとめて8時間より、平日毎日1時間のほうが強い。会計は積み上げなので、間隔が空くと前に戻ります。
- 早い段階で英語の原文に移る。日本語のまま粘るほど、あとで苦しくなります。
- 過去問とExaminer's Reportを早くから使う。後者には受験者がどこで落としたかが書かれており、実質的に出題者からの攻略本です。
- 科目を詰め込まない。2科目同時に受けて両方49点だった方を見たことがあります。確実に一科目ずつのほうが、結局は早い。
- やめない。科目合格が失効するわけではないので、そもそも「諦める」という選択を取る必要がありません。
人生にはいろいろなことが起きます。仕事が変わる、結婚する、引っ越す、家族が増える。そのたびに勉強が止まる。それでいいんです。ACCAは、人生の速度に合わせられる試験です。
まとめ
- 簿記3級もない会計初心者が、働きながらACCA全科目合格を達成しました。部署の異動、ライフイベントによる中断、キャリアの転機、一度の不合格を挟んでの合格です。
- ACCAは、止まってもまた戻れる試験です。一科目ずつ受験でき、合格した科目は消えません。
- 不合格は、終わりの合図ではありません。密度を上げるきっかけにできた人が、最後まで走り切ります。
- 日本語は入口、英語が本体です。英語の原文に早く移るほど、上位科目で楽になります。
ACCAは簡単な資格ではありません。でも、理不尽な資格でもありません。やれば実力が付き、実力が付けば受かる。そして残るのは資格の名前だけではなく、英語で会計を扱える自分です。
当スクールでは、日本語の教材も英語の教材も両方提供しています。日本語で会計の骨格を作り、英語の原文へ橋を渡す。その橋渡しが私たちの役割です。ACCAにご興味のある方は、講座の内容を見るところから始めてみてください。